秘書は秘書が欲しい

私は360度どこから見たって、薄目で見たって、サングラスを掛けたって、面倒くさがりの秘書なのです。

これって、秘書の適性を欠いているというか、どちらかといえば不向きなのではないかと大いに悩んだこともあった。

「新幹線のシートは〇号車の富士山の見える左側、且つ前後左右に人がいない、そしてドア付近は人の往来が激しいから中ほどに…」

「会食では1時間以内にコースを提供するようにお店と調整をして。そして先方は宗教上食べられないと言っていたから何が食べられないのか確認をして、食べられるメニューを組むように…」

「海外出張時、泊まるホテルと連絡を取って、館内案内図をあらかじめ入手するように。部屋は景色がきれいなサイドを予約して」

私に秘書がいたらボスの意図を咀嚼して的確な指示を。そして私は左うちわ状態で笑

でも、やっぱり秘書だから、その時間を有益に過ごしていただくために、一番の願いを叶える必要があるし、結局遂行する。

だからプライベートでは一切「何も手配したくない病」に陥る。
旅行も行くのは大好きだけど、プランを立てるのは大嫌い。
仕事以外は些末なこと。
何かを決めるのも放棄。
よくそんなので秘書がつとまるな、と友達に言われる。

そんな細やかな業務が求められる日常茶飯事の秘書の業務の中で、いちいち面倒くさがっているようなら、いっそ、秘書引退セレモニーでも開こうか。
ほんの1年ほど前までそう思っていた。

…でも、違った。

この究極の「面倒くさがり力」のおかげで、人がどういうところで面倒なのか、そのポイントがわかる。

ボスが面倒なことは、大抵私が面倒なこと。
私は面倒くさがり代表取締役。
私をおいて右に出るものがいないと自負できる。

だからこそ、相手の面倒くさいポイント(ニーズ)がわかる。

そのことに気づいてからは、この「面倒くさがり力」に感謝。

360度一周しても薄目にしてもサングラス越しでさえ見えてしまっていた私の短所は、実は長所という名前だったことを知った。

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