
秘書と経営参謀の違いはなんだろう。
秘書として常にトップの近くにいて、そのすべてを把握している立場において、秘書と経営参謀、いわゆる右腕の座に座るのはどちらか!?
経営参謀と呼ばれる人たちに対して、わずかながら嫉妬も覚えたりする。
秘書は経営について口を出すことは越権行為であり、タブーとする考え方がほとんど。
でも、私はボスが必要とする力に少しでもなりたいと思う。
もし、秘書が経営参謀であるならば、そういった知識や能力があったならば、ボスにとって、鬼に金棒、一石二鳥ではないか??
そこで、今回はこの「プロフェッショナル経営参謀」を読んで、秘書との違いをさぐってみたいと思い、手に取ったのです。
この本では「経営参謀」の定義として、
「経営にとって今最も重要な問いを設定し、解くべき課題を見極め、議論の材料を経営層に突き付けて意思決定を迫ること」
と定義している。
なるほど!
秘書の仕事はボスが設定した「経営課題」に対して、ボスが望む材料をかき集めることはあったとしても、問いを設定したり、解くべき課題を見極めて、迫ったりしないし、そこまで求められることはない。
でも、ボスの最大の望みが事業の成功であるならば、それを遂行するために必要なことであれば、私自身はそこまでできればいいな、と思う。
少し主題とはズレるけれど、本文の中で面白いのは、コケる参謀のパターンや必要な能力が記されていて、一般のビジネスマンとて、とても使える技術ばかり。
参謀でなくても、秘書でなくても、この技術は有用だと思う。
コケるパターンで記されているものは、例えば下記のようなもの。
・バカと思われたくないので、聞き返さない
・自分が抱いた違和感を封印してしまう
・トップのいきなりの豹変ぶりについていけず混乱する
・「いいね、その方向で進めてくれ」を真に受ける
・自分が見えている世界だけで物事を判断する
などなど。
これはまったく秘書と同じ!
特に、「「いいね、その方向で進めてくれ」を真に受ける」なんかはホントに重要なポイント。
トップは忙しいので、その瞬間瞬間の重要事項、優先事項が常に違う。
今、頭に抱えている重要なものに比べれば、今テーブルに載っている課題は優先順位がころころ変わってしまう。
だから、のちほど最優先になるような事項であったとしても、軽く「進めてくれ」とおっしゃることもある。
私たち秘書はこのようなボスの思考回路の裏を読む必要がある。
私はボスが片目くらいでの確認から出てきた「進めてくれ」「いいんじゃない」の言葉を信用しない。
本当に大事な案件だと思ったら、判断を仰ぐことをペンディングして、タイミングを見計らって、再度、判断を仰ぐ。
もしくは、本当に大事だったら、「本当にこれで良いのか」と自分の中に別のボスを作り上げ、私自身と戦わせ、再精査する。
経営参謀も共通している。
この他、センスの良い経営参謀の仕事の進め方のノウハウや、自分自身をスクラップ&ビルトを繰り返す強さの重要性が書かれているけれど、経営参謀と秘書との違いは、ほんの紙一重であり、またロールの違いだけなのではないかと思う。
秘書は一人でボスと対峙するが、物事を遂行する上で、主役になることは無いし、部下を率いて、チームマネジメントをすることもない。
ただし、その考え方や捉え方、ビジネスに対する向き合い方にはさほど変わりは無いように思えた。
私はずっと秘書をしてきたので、部下がつくことなんて稀。
部下がついたとしても、それは秘書の部下であるし、プロジェクトを遂行することなんてなかった。
私が秘書から経営参謀に鞍替えする時にネックになるのは、チームマネジメント力かもしれない。
そしてそこが圧倒的な違いになる。
しかし、秘書が経営参謀になると、ボスとの関係性にも変化が及ぶ。
秘書は必ずしもメンタル的な休息の場所とはならないかもしれない。
ボスにとって、0.5人くらいの存在感で隣に居た方が、ボスは安心するだろうし、それは一般の社員や経営参謀にはご提供できない場所かもしれない。
秘書はボスの絶対的味方であり、また、ボスの一部であること。
秘書にできないこと、参謀にできないこと、秘書にできること、経営参謀にできること。
それぞれに、役割があってもいいのかもしれない。
ただ一つ、経営参謀はきっと秘書のことなんか勉強しないだろうが、秘書の私は経営参謀とやらを勉強する。
秘書とはなんとすてきな職業だろう。
きっとそれは私の強い武器になる!
経営参謀の立場も理解して、その能力を使わずとも、蓄えておくことも一秘書としては面白いのではないかと思った。
そうやって、ユニークな秘書になっていこうと、改めて思った。
★★☆☆☆